金、銀、プラチナ。貴金属の普遍的価値で老後の経済危機や有事リスクに備える
金…4,868円。プラチナ…3,714円。銀…約66円。2017年7月19日時点での田中貴金属における1グラムあたりの地金価格です。かつてプラチナは金以上に価値のある貴金属でしたが、いつのまにか逆転して金のほうがプラチナよりも高価になりました。世界的なプラチナの需要減と、金の価値が再び高まっている状況が一因と考えられています。
インフレに強く、全世界で共通の価値を持ち、古くからリッチの象徴である貴金属。老後の資産運用において安心で確実な資産保全を求めるなら、金・銀・プラチナ・パラジウムといった主要な貴金属は検討に値します。
株式や証券と共に分散運用できる貴金属
老後の資産運用で重視したい安定性。一般的なお金の安全な保管方法としては、銀行預金ですね。給与所得や不動産収入、定年退職した際の大切な退職金を日本円で銀行の普通預金にあずけているだけでは、為替変動リスクや銀行倒産リスクなどに晒されてしまいます。分かりやすくいうと、お金が減ったり、無くなったりするかもしれないのです。スーパーに並ぶ輸入品の野菜や果物、海外旅行のホテル代などは日々変動しています。通帳に記載されている額面の数字が変わるわけではないので、普段の生活では気づきにくい事実ですね。
退職後の老後は給与所得に期待できませんから、今ある財産をいかに安定して維持するかという方向で考えます。間違っても特定の株式に全財産を投入して一攫千金を狙うようなギャンブルに打って出てはいけません。リスク回避するために、資産を様々な金融商品に分散して運用することが重要です。株式投資は値動きの少ない安定銘柄に絞り、配当収入を意識します。安定性重視型の投資信託も検討に値します。個人向け国債なら一般的な銀行定期預金よりも高い利息が付く上にペイオフの心配もなくオススメです。
こうした金融資産の選択先として、金、銀、プラチナといった貴金属の人気が世界的に高まっています。いずれの価値も長期的には右肩上がりを続けており、株券のように破綻して価値がゼロになる心配もまずありません。なにより、経済不況や戦争発生という有事に見舞われるほど資産逃避先として価値が上がるという側面が強いため、昨今の不安定な世界情勢だからこそ考えたい資産形態なのです。
ネット取引で貴金属を保有可能
貴金属だから購入の心理的敷居が高いかもしれません。あるいは、お金持ちしか買わないような高額商品とも。金地金バー、いわゆる金の延べ棒を現物購入しようとすると確かに数百万円以上しますが、数万円、数千円から貴金属運用生活を始めることもできます。日本国内において個人が貴金属を購入する方法としては、全国の貴金属を扱うジュエリーショップで現物購入、先物商品を取り扱う商品取引会社で売買、大手地金商にて購入するなど。最近ではネット上で金銀プラチナの購入と売却を1グラム単位で自由に取引できる便利なサイト「TANAKAのG&Pプランナー」があります。金の1グラムは現在4,800円ですから、この金額なら気軽に購入できますね。ある程度の重量を購入したら、金貨などの現物に変えて宅配することもできます。
金を現物で持つなら金貨の形が素敵
昔から「有事の金」と呼ばれ、経済や治安が不安定な世界情勢下でその価値が高くなる傾向にあります。そうした混乱時には銀行の窓口に預金引き落とし希望者が殺到する「取り付け騒ぎ」が起きたり、ATMが使用不能になる可能性があったりして、イザという時なのに手元に有形資産を確保できない可能性があります。
急激な円安ドル高やハイパーインフレ懸念が高まると円の価値が相対的に下がりますから、いくら福沢諭吉の札束をタンス預金していても意味がありません。こうした危機的状況に、換金性の高い現物資産として金貨を持っていると心強いでしょう。メイプルリーフ金貨やウィーン金貨が有名ですね。普段はネックレスやペンダントトップにして装飾品にしても素敵ですし、富の象徴であるゴールドの輝きに触れるだけで心理的な充足をもたらしてくれる効果もあります。
投資対象よりもアクセサリーとしてお馴染みのシルバー
アクセサリー類として若い頃から親しんできた銀。比較的安価な貴金属の一種なので、「貴」金属という実感が湧きにくいかもしれません。中世ヨーロッパで日常的にやり取りされる通貨といえば銀貨が中心でした。日本でも江戸時代前後には金でできた小判のように銀製の丁銀が花柄として流通していました。現在では指輪やネックレスのような装飾品として以外に、太陽光パネルやカメラフィルムの製造に用いられます。
シルバーは全体量が多いとはいえゴールドのように有限資源であり、ゴールドよりも再利用される割合が低いことから、いずれは資源の枯渇に伴う価値の上昇が予測されている貴金属です。投資対象として数10キロ単位で銀地金インゴッドの取引が行われており、銀の現物を手元に置いておくのは現実的ではないようです。
装飾品としてのプラチナは日本や中国で大人気
マリッジリングの金属素材として最も人気が高いプラチナ、世界的に見ると実は日本だけの風習です。そもそもプラチナが装飾品として根付いている国は日本以外に無く、最近ようやく中国でプラチナ人気が高まってきた程度。「変色しない」という性質が永遠に変わらないものを連想させることから普及したのかもしれません。
ちなみに日本以外の国における婚約指輪や結婚指輪の材質は14Kや18Kなどの金が一般的だとか。耐腐食性でいえばプラチナの他にチタンやタンタルも高性能であり、金属アレルギーの人向け素材としても普及しています。プラチナ独特の白い輝きも人気理由の一端なのでしょう。金融財産としてはプラチナバーやプラチナコインの形で流通しています。ゴールドとともにプラチナも運用することで、さらに資産を分散運用できるでしょう。
老後のリスク低減を考えるなら、これらの貴金属をポートフォリオに追加することを検討してみてはどうでしょう。価値が今後上昇したら一部を売却して日本円に戻しても良いですし、値動きに合わせて柔軟に対応できます。純金を株式のように売買できる「金ETF」という投信もあり、流動性の高さと現物の裏付けによる信頼性からこちらもオススメ。あえて現物を所持したくないとお考えの方向けな貴金属商品です。現金の価値が不安定な今こそ、代替可能で安心できる金融財産を把握しておきたいですね。