恐ろしい台風、でも実は恩恵を受けることも?
メリットの具体例としては、「水不足の解消につながる」が75.2%と最も大きいメリットとして挙げられ、私達の生活や自然環境に対して、必ずしも悪いことばかりではないといった理解があることが分かります。
地球規模の効果!実は台風のかき混ぜ効果が生態系の維持に貢献
さて、もっとも多くの方が感じる台風のメリットは「水不足解消」であることが分かりましたが、実は地球規模でみると、台風は他にも重要な役割を担っているのです。
台風の強い風は、海の表層をかき混ぜます。すると、海面付近の温かい水と海深くの冷たい水がかき混ぜられて、結果的に海面付近の水温が下がります。この水温の影響を大きく受けるのが「サンゴ」。サンゴに適した水温は25~28℃といわれており、水温が高すぎる状態が続くと白化し、さらには死んでしまうこともあります。サンゴが死んでしまうと、サンゴ礁をすみかにする生物が減り、さらにはそれら生物を食べる生物が減り、最終的には生態系のバランスが崩れてしまいますが、海水のかき混ぜ効果がこれらを防ぐ働きをしてくれています。さらに、かき混ぜによる効果は水温への影響だけではありません。酸素を多く含んだ表層の水が酸素の少ない深層まで運ばれ、生物にとって必要な酸素を海底付近へ供給してくれます。このように、台風の強力な風によるかき混ぜ効果が、実は生態系の維持に大きく貢献していたのです。
一方で、強風による波浪でサンゴ自体が破壊されてしまうこともあるため、台風の勢力が強すぎると、デメリットの要素も出てくることが近年指摘されいます。このように、様々なバランスの上で生態系が成り立っています。