レトロ好きを虜にするヴィンテージカー・旧車の魅力。
50歳を過ぎても60になっても、むしろ年を経るほどにレトロを好きになる人がいます。ヴィンテージとしての希少かつ高額な価値、そしてやはり時代を感じさせる個性的なデザインと機能がレトロ好きを虜にします。中でもクラシックカー、ヒストリックカー、いわゆる旧車は世界中の高齢ドライバーから最新カーマニアまで無数のファンが存在。街角で旧車が通り過ぎたら思わず振り返って二度見せずにはいられない珍しさ。最新の車が備えて当然の安全性、経済合理性、メンテナンスフリーと真逆を行くヴィンテージカーの魅力に迫ってみましょう。
再現不可能なデザインと性能
外車は目安として1930年以前のもの、国産車なら1970年代以前の高級車をヴィンテージカーと呼ぶようです。しかし比較的最近の旧車でも高級感や奥深いレトロデザインなら、雰囲気的にヴィンテージカーと呼ばれ親しまれています。今から50年も前に製造され、時代を超えた現代でも色褪せず輝き続けるビンテージカー。なにせパソコンすらない時代の産物です。現行車では当たり前というか無くては開発が始まらないCADやCAEのような設計ソフトも当然ありません。仮に紙ベースの車体設計図が現存していたとして、果たして当時と同じクルマをもう一度製造できるかといったら、技術的にも経済合理性の面でも多くの困難が予想されます。自動車の世界は日進月歩ですから、もしクルマ1台をボタンひとつで自動作成できる大型3Dプリンタでも生まれれば不可能ではないかも?
本体価格に匹敵する高額なメンテナンス費用
旧車は絶版車のため、自動車工場での生産はとっくの昔に終了しています。ゆえにメーカー整備対応も不可。修理部品が足りなければ同型の中古車から移植するか、ゼロからワンオフ品を削り出すしかありません。クラシックカーを専門に取り扱う中古車店は近隣に自前の板金工場を擁していたり、高度な精密部品にも対応できる町工場と提携していたりします。日々摩耗する部品を補修し、カーオーナーの要望に沿ったカスタムチューニングを施し、メーカー抜きで旧車のメンテナンスも請け負うためには、全部品をワンオフ製造できるだけの能力を必要とされます。それら全てが費用応相談。いつ壊れてもおかしくないヒヤヒヤ感。追い打ちをかけるように自動車税、重量税、任意保険料も割高。長く乗れば乗るほど手間暇とお金がかかり、気付いてみれば本体価格を上回っていることも。
ではその本体価格の近況はどうかというと、現存するクラシックカーの希少性から年々値上がりしています。ここには供給がストップしているのに旧車ファンの需要が増加しているというアンバランスな構造があります。今後は限られた車体を巡って主にヨーロッパや中東の富裕層を中心に、投機的な目的による中古価格の高騰が予想されています。それでもなお手放さないのは、理屈を超越した得難い魅力をヴィンテージカーに感じるからに他ならず、最近では50代、60代よりも若い20代、30代が自分よりも古い年式の車に魅力を感じて所有するケースも増えてきました。
日本でも世界中のクラシックカーに出会える場
なにはともあれ本物の旧車を間近で拝見してみなければ、ヴィンテージカーの魅力は伝わりません。近所の中古車店を検索して見学してもよいですが、現役のクラシックカーが滅多に聞けないエンジン音を轟かせて公道を走行するイベントが度々開催されています。
北海道クラシックカーラリーは1976年よりも前に製造された車両限定のラリーイベントです。札幌市をスタートし、富良野・美瑛を経由してオホーツク、網走方面へ。道東に点在する景勝地を巡り、知床峠を越えて釧路、十勝平野を抜けた新得を経由して札幌市にゴールする3日間の旧車フェス。7月の暑い時期、北海道をツーリングしていてヴィンテージカーの車列に遭遇できた方は幸運ですね。
関東圏ではお台場で旧車天国2017が11月に開催予定です。首都圏在住の方なら近所なので訪問しやすいですね。全国から名うての旧車愛好家が集結。個人オーナーのほか、90を超える気合の入った企業ブースが出展。スワップミートといういわゆるフリーマーケットを併設していて、ここでしか手に入らない旧車に関係したオリジナルグッズを展示販売。これ目当てに訪れる旧車ファンも多いとか。首都圏で毎年開催されているので、レトロカーに関心のある50代は秋口になったらチェックしてみると、さらに興味をそそられるでしょう。