50代と60代の違いとは? 体力、経済力、退職前後で変わる傾向と対策
年を経ると身体にガタが来る。50歳を過ぎると、つくづく実感します。日に日に鈍っていく身体は、まるで経済的な豊かさと反比例するかのよう。はたして60代に定年を迎えるまで身体は動いてくれるのでしょうか。一抹の不安がよぎります。
働き盛りの50代と定年退職を意識しだす60代の違いは何なのか。体力的な衰えに対して今からできる準備や対策はないのか。善は急げ。50代ではなく40代、30代の方にも参考になるかもしれないポイントを確認しましょう。
「体力の違い」筋力や持久力が50歳代の頃より低下
身体能力の低下は老化のひとつ。早い人では30代、いえ20代後半から始まっていますが、50代ともなると目に見える形で表面化します。ちょっとの駆け足や階段での息切れ、電車やバスで立っているだけでも辛い、いつもと同じカバンが重く感じる。思い当たるフシがある方も多いのでは。
基礎代謝も落ちてくるため、脂肪が燃焼されにくい体質に。少し食べすぎただけでスグ体重が増加します。ただでさえ仕事で忙しいのに、と50代のうちから運動をサボっていると、60代になってから身動き取れなくなるのが目に見えています。
10代や20代の若い頃にスポーツをやっていて中年以後に引退した人は要注意。体力への自信だけはあるのに、実際の運動が伴わず食事量も変わらないという厄介な状態に。今からでも遅くないので、スポーツ教室や社会人サークルで現役復帰を試みては。アラフィフが嗜む代表的なスポーツであるゴルフは長時間の歩行やストレッチ運動になって効果的です。
「経済力の違い」給与は定年前でピークに。その後は資産管理へ
30代前後から20年以上勤続したと仮定して、50代ともなると社内での立場も管理職の地位。そのまま定年退職する60歳を前に給与はピークを迎えます。長かった定期給与人生も終わり、再雇用されて年金を受給される65歳までもうしばらく続けるかどうかといったところ。自営業者はこの限りではありませんが、そろそろ後継者なり精算なりで区切りを考える節目にあたります。
60歳前は、これまで毎月受け取っていた収入がなくなることへの不安もピークに達する時期ですね。50代で経済力は最大となり、60歳を過ぎたら退職や病気等でいつ経済力が急降下してもおかしくありません。年金生活までの数年をどうやりくりするか、預貯金や不動産など金融資産ポートフォリオとにらめっこしながら考える必要があります。
この老後資金シミュレーションは若いうちから定期的に済ませておくと安心。その道のプロである社会保険労務士や行政書士、ファイナンシャルプランナーにお金の心配を相談しましょう。60代までにどれほどの経済力を想定しているか、セミリタイアした後にとっておいた夢を叶えるために必要な資産運用方法などが具体的に把握できます。
「判断力の違い」経験に基づく確かな判断基準は60代でも健在
身体は衰えても、頭の中は別。暗算スピードや単純な記憶力は劣化するかもしれませんが、経験によって培われた判断力、問題解決力は60代になっても現役。むしろ老いてなお研ぎ澄まされていきます。50年以上の経験と実績に裏打ちされた決断や直感が、アラフィフ、アラカンの強み。管理職や経営者、官公庁の上役に高齢の人がバリバリ通用しているのは年功序列というだけではないようです。現実に重大な判断力を要求され、それに応える能力を有しているからに他なりません。
30歳代より40歳代、40歳代より50歳代、50歳代より60歳代の方が卓越する判断力。ただし70代以降はというと、人によっては別の問題が浮上してくる年頃。高齢化と切っても切り離せない認知症問題です。いかに頭脳明晰といえども、アルツハイマーなど認知に関わる病気を患っては組織人としての責任を果たせません。
60歳で定年退職後、まだまだ働ける方は再雇用でもう数年勤務。しかしその後は全盛期と比べるべくもないシルバー人材向けのまったりした仕事内容に。雇用関係が切れてしまうと責任ある業務に携わる機会が失われ、ついに頭をフル回転させることもほぼなくなります。人間の頭脳には慣性が働いており使えば使うほど発達しますが、一旦使わなくなると急速に減衰するもの。ましてや全身の機能が沈静化していく年代。体力の衰えとも関係しますが継続した運動習慣は認知症予防に効果がありますし、仕事以外にも脳トレになりそうな環境に身を置くことを心がけましょう。
「独立力の違い」起業するなら早めが吉。60代からでもメリットが
50代は現役時代の集大成。これまで磨いてきたビジネススキルとヒューマンスキルを存分に活かして、いよいよ独立するのに適した年代です。今こそ自分だけの城を建てる時。まだ身体の自由が効くうちに自己実現を達成したい方、会社に勤務していては叶えられない夢にチャレンジしたい方。増やし続けてきた人脈やコネを今こそ有効活用しましょう。背中を押してくれる早期退職制度があれば利用しない手はないですね。
だからといって60歳を超えてからは独立力が低下して起業は無謀なのか、というとそんなことは全くありません。ただし独立の質が若干異なります。50代のように朝から晩まで頑張るといったフルタイム労働は中々できなくなります。60代での起業はビジネスというよりも、どちらかというと退職後に生まれる余った時間を活かしたり、勤めていた組織に代わる社会との繋がりを求める意義のほうが大きくなります。子供も自立して手がかからなくなり、預貯金や退職金を元手に好きな自営業を始められます。急がずマイペースな独立を果たせるのが60代起業のメリットになります。
家庭と会社、両方の責任から解き放たれた60歳代の自由な状況は、もしかすると何をしても許された幼少時代以来かもしれません。真に豊かなライフスタイルを叶える絶好の機会だといえます。やり残したことがないように、と言葉にしては大袈裟かもしれませんが、50代と60代の違いを意識しておくことで納得できる人生を送る手助けになるでしょう。