ダイバーシティーが高齢化社会を活性化。年齢、性別、国籍等の違いを受け入れた多様性組織とは?
何事も前に進むためには、否が応でも多様な価値観を受け入れる必要性を感じずにはいられない昨今。実物大ガンダムがそそり立っているお台場ダイバーシティ東京プラザのことではありません。Zeppダイバーシティ東京とも違います。50代だからこそ輝ける、多様でボーダーレスな舞台が実現するかもしれません。
人手不足を解消、労働力人口を増やして生産性を向上、人材属性の不均衡を是正、高齢化社会で持続する経済成長を実現。今まさに求められている解決力を期待させる「ダイバーシティ」という考え方が注目されています。
人口構造の変化へ対応するために
先進国全般で高齢化社会が進行しており、慢性的な人材不足の状態にあります。出生率が下がるほど将来の労働力人口は減り、一方で現役世代は次々にリタイアして生産力も低下。世界中の人事担当者が頭を悩ませる中、「ダイバーシティー」という多様性を受け入れる概念が注目されています。企業の採用選考例としては、これまでの画一的な選考上、消極的な場合があった高齢者・女性・外国人などの垣根を取り払い、能力を発揮できるような労働環境を用意する形が考えられます。
人材市場のパイを増やすと同時に、組織内の多様性を深めることで複雑化するニーズへの対応力を高める狙いもあります。人口動態が逆ピラミッド型へ移行していくのは確実。こうした時代の変化に即した人材活用が、今後も模索されていくでしょう。その中では50代以降の半リタイア世代も例外ではありません。予備戦力的なシルバー人材として以上の、メインプレイヤーとしての実力発揮を期待されています。
日本で根付きにくい理由
現代の日本において、ビジネスの現場は極めて現実的な判断を迫られています。若い男性の日本人という旧来の理想人材像にしがみついていては、あっという間に人材不足に陥って淘汰されるでしょう。しかし全ての企業で直ちに合理化・最適化が行えるわけでもありません。おいそれと変えられない経営方針、長年培った社風、逼迫する経営資源、あるいは多様化に伴う費用対効果などを背景に、日本ではダイバーシティ導入に二の足を踏む企業が多いようです。
また、トップダウンで強引に様々な人材を投下したとしても現有社員間でダイバーシティの概念が浸透していなければ、現場に戸惑いや混乱が生まれるのは目に見えています。採用条件の拡大と長期雇用期間はトレードオフではありません。その意味では、ダイバーシティと終身雇用は両立しえます。50歳で入社した人が定年まで勤め上げるキャリアが、いずれは普通になるかもしれませんね。
ダイバーシティーで50代以上にもチャンスが
採用したい人材の幅が増えることは、仕事を探す人にとって有利か不利か。応募条件が緩和されるため、単純に応募数が増えた結果、競争倍率が上がるかもしれません。しかし表面的に不利であっても、若輩者が足元にも及ばなスキルや経験の豊富さでは、これまで選考の対象とされてこなかった50代60代の年長者が圧倒的に有利なはずです。新卒採用して自社のDNAを叩き込み数年かけて育てていく方針は、中長期的には正しいとしても多大な教育コストを必要とするため、全ての企業が実行可能なわけではありません。
即戦力を求める風潮は今に始まった話ではなく、たとえ50代だろうと使える人は使いたい。事情があることを広く認知されています。いわばダイバーシティーによって年齢というマイナス条件が一つ消えたようなもの。さらに優れたスキルを正当に評価されるという本来あるべき形に戻り、50歳を超えた人にとってのチャンスはむしろ増えたと捉えられるでしょう。