【季節の落語2】夏の噺
『鰻の幇間』
野幇間(註3)の一八が道で見掛けた男。何処かで会った旦那の様な気がするという、曖昧な記憶を頼りに声を掛けると、当然の如く会話が噛み合いません。それでも、どうにか鰻屋に連れて行って貰う事に。酒や香の物でつないでいるうちに蒲焼きが出て参ります。「ちょいとはばかりへ…」と旦那が出て行ったきり、なかなか戻って来ないので、様子を見に行く一八でしたが…。
夏の噺は他にも『夏の医者』や『夏泥』、『お化け長屋』などなどたくさんございます。中でも怪談噺は夏の噺の代表格で、『怪談 牡丹灯籠』や『真景累ヶ淵』、『乳房榎』、『もう半分』など、おどろおどろしい噺は本当に背筋が凍ります。 是非、寄席や落語会に足を運んで夏の噺もお楽しみ下さいませ。
註釈1 たが屋 桶や樽などを作る際に、「箍(たが)」と呼ばれる細く切った竹で板を締める職人です。桶や樽などの修理も請け負っていました。
註釈2 不邪淫戒(ふじゃいんかい) 「自分の妻以外と性交してはいけない」という仏教の「五戒」の一つです。
註釈3 野幇間(のだいこ) 幇間(ほうかん、たいこもち)は男芸者で、正式な幇間はきちんと師匠の下で修業を積み、遊里に登録されますが、野幇間はいわばフリーの幇間です。
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