両親や自分に成年後見制度を活用するために(64歳男性、会社員)
成年後見制度を悪用して管理していた貯金口座から横領して捕まるニュースをたびたび耳にします。
両親に認知症の気があり、まもなく子の私が財産を管理することになりそうです。
自分も高齢なので、いずれ判断能力が不十分になってきたとき、どのように成年後見制度を使うことになるのでしょうか。
その頃には専門家に相談する判断さえ怪しくなってるかもしれませんので、今のうちに対策を聞いておければと思います。
・鹿児島県在住、男性 (64) 既婚、会社員
まず成年後見とはどういったものかを簡単に紹介します。
日用品等の購入といった日常生活に関しては単独で出来るものの、 自己の財産管理や処分する事が出来ない状態になった場合が対象となります。
成年後見には2種類あって法定後見と任意後見からなります。
どちらの場合も裁判所に申立する必要があります。
以下に簡単にそれぞれの比較をまとめてみました。
法定後見 | 任意後見 | |
対象者 | 既に判断能力が無い人 | 判断能力がある人 |
後見人 | 裁判所が選任する | 自分で決められる |
申立 | 配偶者、4親等以内の親族、市区町村長等 | 左に加えて任意後見受任者 |
後見人の業務 | 法律によって決まっている | 自分の要望が反映できる |
後見人監督人 | 裁判所が必要と判断した場合選任される | 裁判所によって必ず選任される |
本人の行った法律行為 | 後見人が原則取り消し可能 | 取り消しは出来ない |
現時点でのお二人の判断能力の程度を早急に判定して下さい。 医師の診断の結果で判断能力に難ありとなれば、選択肢は法定後見のみです。
法定後見となりますと上記にあるように後見人が出来る業務は法律よって決まります。
例えば、親の入院や入所又はあなたとの同居等で実家が空き家になり、その後も再入居の見込みがない、管理も遠隔地にある、手間がかかる等の問題で早急に手放したいと思っても、または親の介護費用の為に売却を考えても裁判所は許可を出しません。 あくまでも後見人の都合での申請と捉えるのです。
ですが、もはや親に移行を伝えても後の祭りです。 そうなりますと現状維持のまま宙ぶらりんな状態を強いられる事にもなり兼ねません。
逆に任意後見の場合は当人がしっかり要望を表明できるわけですから、いろいろな要望や処置の仕方などを契約に反映が出来ます。既述した空き家リスクも事前にそうなった場合の売却指示などが記載されていればスムースな手続きが可能になります。
尤も、任意後見契約の場合は必ず家裁によって任意後見人監督人が選任されます。仮に貴方が親の任意後見人になったとしてもそこに監督人が就くことになります。
今現在の詳細は不明ですが 私見としては「転ばぬ先の杖」として任意後見契約の早期締結が適当かと思います。
さらに慎重を期すのであれば、判断能力はあるものの、歩行に不自由さがあったり等 で銀行での記帳や入出金に苦労している場合に使われている「財産管理契約」とのセットでの契約をお勧めします。2つの契約を結び、判断能力があるうちは単なる財産管理を代行し、判断能力に 支障が確認された時点で任意後見契約に移行させるのです。
こうする事で、本人は最後まで自分の意向が反映された生活を続けることが可能に なり、加えて生命、身体、財産の利益や権利を擁護されることになるのです。
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