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未申告の海外相続財産の対応をズバリ解説!

 

また、相続発生日(2013年5月)にAさんがオーストラリアの預金を取得したことになりますので、相続発生日以降の預金利子についてはAさんの利子所得として申告が必要です。

 

 

Q4. 父の利子所得に対する所得税は相続税ではどのように取り扱われますか?

 

相続税の計算上、基本的に、債務控除として相続財産から差し引くことができます。

 

被相続人の税金のうち、死亡の際に確定しているものと死亡後に相続人が納付したものは、相続財産の価格から控除して相続税の課税価格を計算することができます。

 

Aさんの場合、2011年・2012年分の預金利子に対する所得税及び延滞税等は、本来、当初申告時にAさんの父が申告して納付すべきものなのでAさんの父が負担すべき債務として相続財産の価格から控除できます。また、2013年分の準確定申告に係る所得税も、Aさんの父が負担すべき債務に該当するため控除が可能です。ただし、2013年分の準確定申告に係る延滞税・過少申告加算税は、Aさんが正しく申告を行っていれば免れることができたものですので、Aさんの父が負担すべき債務に該当せず、相続財産の価格から控除することはできませんのでご注意ください。

 

 

Q5. 2014年分から国外財産調書の未提出にはペナルティが導入されるとのことですが、どのように対応すればよいですか?

 

2014年分だけでなく2013年分の国外財産調書を提出することをお勧めいたします。

 

国外財産調書制度は、2013年から導入された制度で、年末時点で5,000万円を超える国外財産を保有している日本居住者は提出の義務があります。

 

Aさんの場合、相続発生日(2013年5月)にオーストラリアの預金1億円相当を取得したことになりますので、本来2013年分の国外財産調書を提出する必要がありました。

2013年は国外財産調書の導入初年度であったため、未提出の場合でもペナルティは課されることはありません。しかしながら、Aさんの2013年分の期限後申告(相続発生日以降の利子所得の申告漏れ)と併せて国外財産調書を提出することで、通常は追加納税額の5%相当課される無申告加算税が免除されることになるため提出をお勧めいたします。

 

2014年分以降は、年末時点でオーストラリアの預金残高が5,000万円を超えていれば、国外財産調書の提出が必要です。

 

Aさんのケースは、相続人がAさん1人のため論点がシンプルですが、相続人が複数の場合は、未申告の相続財産を誰が相続するか、また、未申告の相続財産の所得をどのように申告するかなど論点が複雑となります。この場合は、個別の事情を具体的にお伺いする必要がありますので、お気軽にご相談頂ければと思います。

 

日本とオーストラリアの税務当局間での情報交換が活発になっているため、オーストラリアにある金融資産の申告漏れに対する税務調査対応についてご相談を受ける機会が増えております。税務署はオーストラリアの税務当局から入手した、確実に申告漏れを指摘できる証拠を持っていますので、「お尋ね」を経ずして税務調査が行われることが最近の傾向となっています。個人の税務調査は、基本的に自宅で行われることになりますので、精神的なご負担が大きいことか存じます。オーストラリアに金融資産を保有されていて、これまでその金融所得の申告をされていない場合は、税務調査が始まる前に自主的に申告することをお勧めいたします。

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